2012年02月26日

空手小公子 小日向海流

4063368831空手小公子 小日向海流(1) (ヤンマガKC (883))
馬場 康誌
講談社 2000-07-04



 「空手小公子 小日向海流」は連載開始当初から読んでいるのですが、最近になってまた読み返しました。
 これは変な漫画ですよねぇ。当初はこんなに続くとは思っていませんでいた。
 格闘漫画なのに初戦が対剣道。その後も忍者が出てきたり変則パターンが続きます。
 大抵の格闘漫画というのは、主人公が敵を倒しては成長し、またもっと強い敵を倒し、という、バトル漫画のインフレ構造がベースにあるわけですが、小日向海流はこの構造が非常に弱いです。主人公も勝ったり負けたりで、コレというライバルもいない。やたらすぐに新キャラが登場し、決まった人間関係の中でグツグツとバトルエネルギーが煮詰められていく、という、格闘漫画の基本から常にズレていきます。
 いや、この枠組に全く収まらないということではなく、一応ある程度は収まっているのですが、そこから常に「ズレる」のです。このまま煮詰まっていくのかなー、と思ったら、あっさりその枠組が捨てられて新キャラ登場、みたいな流れがいつもあります。何なんでしょうこれ。
 そもそも、主人公があまり魅力がない。
 多分この漫画は腐女子需要があって、その辺には受けているのかもしれませんが、格闘漫画としては異例なほど、主人公のキャラが立っていません。
 これに対し、武藤や伊吹は初盤から非常に立ったキャラだったのですが、敢えて彼らを中心に引き立てず、挙句の果てに海外に飛ばされてしまいます。そうしないと小日向が全然活躍できない、ということだったのでしょうが・・。
 これだけ崩れていたら、格闘漫画として面白くなくなって、すぐに連載終了してもおかしくないのですが、不思議なことに、結果的には結構面白いです。最近はややダレ気味なところもありますが、特に二十巻くらいまでは非常に面白い。とりわけカオルちゃん周りは非常に引き込まれます。
 個人的には、最初の頃のプロのリングにあがる前の展開の方が好きだったので、時々あの雰囲気を取り戻してくれたら嬉しいです。

全巻セット検索 : 空手小公子 小日向海流
posted by やっ子 at 13:58| ☆☆☆☆

僕の小規模な生活 5巻を読む

4063761495僕の小規模な生活(5) (KCデラックス)
福満 しげゆき
講談社 2011-11-22



 福満しげゆきの「僕の小規模な生活」5巻を読みました。
 何か急に面白くなっていますよ。いや、元々ジワジワ面白いのですが、5巻になって一皮剥けたというか、基本的には今まで通りの自意識ネタなのですが、「育児」と「長い回想」の二本立てが効いています。
 「島田」と聞いて寄生獣の島田を思い出してしまうところとか、声を出して笑ってしまいました。
 「長い回想」ネタで、コマの隅っこに「21世紀の僕」がいて、色々ツッコむ、という形式もイイです。これは普段の自意識ネタほど読み手の精神へのダメージがなく、より親しみ易いのではないのでしょうか。作者の方がどれほど意識しているのか分かりませんが、福満しげゆきの自意識ネタは、コミックスなどで長く続けて読むと結構精神的にこたえるところがあって、自意識ネタの面白さを活かしながら、かつよりカジュアルにする方法として、「ツッコむ僕」と「ツッコまれる僕」の間に時間差をもうける、という様式はなかなか良いように思います。
 日常ネタでこれだけ描ける、ネタが尽きない、というのはスゴイことだと思いますが、福満さんにはストーリー漫画も描いてもらいたいです。
 この前描いた二話完結のゾンビものは非常に良かったので、あの感じでやると良いのではないでしょうか。ストーリーものなのに、作品のノリがいつもの自意識漫画と全然変わらないのがイイです。
 ゾンビものの時の、日常と非日常の混ざり合う感じ、なおかつ異様に自意識過剰な主人公、というパターンは本当にいける!と思います。あれでもうちょっとコマ割りを大きく、動きを大きくして、「異様に細かいところ」と「漫画として動きを見せるところ」のメリハリがつけば、もっと売れる漫画になるのではないでしょうか(今でも売れてるのかな)。編集者さんは是非描かせてあげて下さい!
posted by やっ子 at 13:49| ☆☆☆☆

プラネテス

4063287351プラネテス(1) (モーニングKC (735))
幸村 誠
講談社 2001-01-20


おすすめ度:☆☆☆☆

 リアル宇宙開発ものの傑作、プラネテス。
 リアル宇宙開発ものといえばMOONLIGHT MILEもかなり面白いですが(少なくとも息子編になるまでは)、MOONLIGHT MILEが世界全体の動く様に焦点があるのに対し、プラネテスはもう少し人間周り、主観から見た世界がポイントになっています。舞台がリアル宇宙開発世界でありながら、個々人の生活世界はあまり変わっていない、というところが見所です。
 デブリ回収船から木星探査という大きな目標に話が移っていくのですが、個人的には、むしろデブリ回収周りで延々とやってくれた方が嬉しかったです。といっても、おそらく作者としては大きな夢に向かっていくストーリーを中心に据えたかったであろうし、楽しんでいるツボが違うのでしょうけれど。
 4巻で完結してしまってはもったいない世界観だったので、一話完結的に毎度デブリ帯で事件が起こっては解決、みたいなのも読んでみたいですね。
タグ:宇宙 幸村誠
posted by やっ子 at 13:39| ☆☆☆☆

2012年02月10日

関節王

 三倉佳境の「関節王」。
 「グランドチャンピオン」に連載されていたドシブな格闘漫画で、掲載しの廃刊により五巻で終わってしまったマニアックな漫画です。
 全巻セットを買おうかと思ったのですが、初めて電子書籍で購入してしまいました。



工事現場で働き、鳶職仲間から「オヤッサン」と親しまれる38歳の男、水澤完。その傍らにいつも寄り添う娘の映美。実は水澤は古流柔術「守天流」の継承者であり、奥義を極めた柔術家であった。水澤はある志を秘め、他流である全日本柔道選手権に出場する。


 この「関節王」、色々と渋いポイントがあるのですが、まず主人公が38歳とび職。ここからして、少年格闘漫画ではあり得ない設定です。でもそこがイイ。おっさんがカッコイイのが渋くて素晴らしい。
 キャラ全般に、今時の格闘漫画にありがちな腐女子受けする要素はゼロ。細くて美形の男が実は強い、というのは全然なく、強いヤツが強そうな顔身体をしています。異様にむさくるしい漫画です。絵柄も実に昭和っぽいです。
 主人公は柔術の継承者なのですが、こういうキャラが闇の世界で活躍する、というのだったらありがちな格闘漫画なのですが、柔道の全日本選手権に出場します。そして普通に柔道と戦って勝ってしまう、という、これまた地味で渋い展開が面白いです。更にその後はグローブ空手のトーナメントに出場します。
 サブミッションアーツレスリングの麻生秀孝が協力しているようで、技の描写などが異様にリアルです。特に組み技系の技術を細かく描くのは難しいし、また一般受けもしにくいと思うのですが、そこを実に緻密に表現してくれています。

 と、ここまでは非常に良いポイントで、組み技系リアル格闘漫画としては絶品なのですが、難点もあります。
 まず、せっかくリアル系の設定なのに、オーラがどうだの気の戦いだの、神秘がかった変な設定が出てきて、ラストの展開も1400年の恩讐みたいな非現実的戦いになることです。最初から神秘系というか、SFっぽい格闘漫画ならそれでもいいですし、バキだったら何が起こっても驚きませんが(笑)、リアル系・地味系が魅力の漫画では、こうした要素は抑えめにした方が良かったと思います(漫画ですから、ストーリーの盛り上がり的に多少あるのはプラスでしょう)。
 また、これは連載の都合上仕方なかったのかもしれませんが、柔道の全日本に出る、という、他で聞いたことがないような地味展開なのに、トーナメントがあっという間に終わってしまうことです。この漫画、ヘンに神秘要素やら何やら入れずに、柔道のトーナメントだけで二十巻くらい続けて良かったでしょう。全日本出場をかけた闇試合みたのも、非現実的すぎて今ひとつです。
 もちろん漫画だから非現実に決まっているのですが、リアルっぽさと漫画っぽさのバランスというのが重要でしょう。この漫画の魅力はリアルで地味な関節技描写などなのですから、物語が展開できるギリギリまで地味に抑えた方が成功したはずです。
 また展開がやたら早いために、各キャラの描かれ方が不十分で、あまり引きこまれません。なんだかよくわからないけれどデカイヤツを倒すだけでは、主人公の強さも際立ちません。
 そして、主人公の動機が最後の戦いまで明かされないこと。これはこれで良いのですが、主人公の内面が見えないため、物語としては三人称視点的になっています。そういう構造にするなら、なおさら周囲のキャラを内面から深く描かないと、ストーリー展開的には牽引力に欠けるでしょう。
 あとは女性の描き方が物凄い神秘化されていてキモい、というのがありますが、これは男性向け漫画全般に言えることなので、目をつむります。

 物凄い可能性のあった漫画だと思うし、またやってほしいとも思うので、作者には再起を願いたいです。
タグ:三倉佳境
posted by やっ子 at 09:36| ☆☆☆☆

死刑執行中脱獄進行中

死刑執行中脱獄進行中 (集英社文庫 あ 41-54)

荒木 飛呂彦 集英社 2011-09-16
売り上げランキング : 304
by ヨメレバ


おすすめ度:☆☆☆☆

 今さらながら、荒木飛呂彦の短篇集「死刑執行中脱獄進行中」です。
 文庫で買ってしまいましたが、大きい版のものを買えば良かったです。

死刑執行中

全巻セット検索 : ジョジョの奇妙な冒険
タグ:荒木飛呂彦
posted by やっ子 at 09:17| ☆☆☆☆
応援クリック > にほんブログ村 漫画ブログへ
にほんブログ村